「晩ごはんトークショー」の第1回を行いました。
トークディナーショーというのは聞いたことがありますが、「ディナー」というと、
なんか、コース料理を連想してしまいそうですよね。
そういうのではなくもっとカジュアルなスタイルで、酒とおかずを楽しみながらゲス
トのお話を楽しむトークショーなので「晩ごはんトークショー」と名付けました。
美味しく食べて飲んで、知らなかった知識や知恵を手に入れる。
それが「晩ごはんトークショー」の目的です。
さて、1回目のゲストは、安平町遠浅にある50年の歴史を持つおいしいお弁当屋さん
「おおしまや」さんで腕を振るう石黒良一さん。
どんなお話を伺えるのか楽しみです。
そんなわけで、第1回の料理は会場の「酒とめし どんたむれんじゅ」の料理ではな
く、おおしまやさんの今日の幕内弁当です。

(お弁当の置き方としては左右が逆になってます)
今回は酒の肴にもなるということで、通常、店頭で売っているものより、ご飯の量を
ずっと減らして作ってくださいました。
卵焼きも煮しめもポテトサラダも当然手作り。
エビフライは既製品ですがなるべく衣の薄いものを、鮭もバサバサしないものをと吟
味して使っているとのことです。
講演中、「おいしい」「おいしい」という声が。

右が石黒さん、左はどんたむれんじゅ店主。
おおしまやは安平町の遠浅地区にあります。

国道234号で苫小牧から向かうと安平町に入ると最初に現れる建物。
ここが遠浅の入り口でもあります。

国道234号で岩見沢方面から追分→早来を経由して苫小牧方面へ向かうと安平町で
最後に現れる建物。
お弁当を始めて50年になるおおしまですが、最初は普通の商店だったそう。
店内はこんな感じ↓

(写真の右手側には、ここで食べていけるように、テーブル席があります)
石黒さんは縁があって、3年前からこのお店で働き始め、現在はおおしまやさんの奥
様(以下 お母さんと表記)と二人でお店を切り盛りされているそうです。
石黒さんの調理人としてのスタートは、札幌のラーメン屋さんでアルバイトをしたこ
とから始まったそう。そのうち、信頼されて調理を任されるようになったそうです。
ハードロックが好きな石黒さんですが、ラーメン屋さん時代に、アメリカのハード
ロックバンドSKID ROWが来店したこともあるそう。カウンターに座ったメンバーを見
て「なんか見たことある、誰だっけ誰だっけ?」と思いながらサインをもらって、わ
かったそうです。
そして、苫小牧に来て飲食店以外の仕事も経験して、再び調理の道に戻り、いくつか
の店を経由して、現在はおおしまやに。
おおしまやのお弁当は幕の内と日替わりの2種類。


その幕の内も、選ぶ楽しさを考えて、同じおかずでも組み合わせを変えて(例えばメ
インのおかずが、焼き鮭、ハンバーグ、エビフライだとすると、焼き鮭&ハンバーグ、
焼き鮭&エビフライ、ハンバーグ&エビフライなど)いるそうです。
お弁当のメニューは、おかあさんと石黒さんで考えるそうです。
おかあさんが新しいことを「おもしろそうね」と受け入れてくれる方なので、石黒さ
んのアイディアもよく反映され、二人の世代の違いは「多彩なメニュー」となってお弁
当に反映されているそうです。

お弁当作りで、一番重要なことは当然「衛生」。
作ってすぐ提供して食べてもらう飲食店と違い、作ってもすぐには食べてもらえない
のがお弁当。なので、いかにして菌を付けないか、いかにして菌の繁殖を抑制するか
が重要です。
だから、例えばトイレ。
初めの頃は絶対に調理中はトイレに行かないとしたこともあったそう。でも、やは
り、それでは身体をおかしくしてしまうことになるので、手袋の脱着のタイミングなど
を工夫するようにしたそうです。
また、最も菌が繁殖する温度帯をなるべく早く通過してしまうように対策するという
ことも必要だとおっしゃっていました。

さらに夏の暑さ対策も食中毒防止の面はもちろん、調理する者の体調管理の面でも重
要なことだそうです。
勤務時間は午前7時から午後6時。
大量のお米を磨いで炊いて、煮物、揚げ物、焼き物と熱気に囲まれ、店頭に並べた
あとに企業へお弁当の配達、そこに仕出しもあればもうてんてこまいですよね。
体調管理は本当に重要です。

さて、そもそも調理が好きだとおっしゃる石黒さん。
この仕事の楽しみとして、お客さんから感想を聞けること、リクエストが来たりする
ことがあるそうです。リクエストには「じゃあ○○頃作るね」なんて約束したりするこ
ともあるそう。
遊び気分で「メタボリック弁当」という「トンカツと焼きそばとごはん(具体的な
メニューはメモし忘れました)」みたいなハイカロリーなお弁当を作ったこともあるそ
う。でも、それは屋外作業の仕事に人たちに好評で、そのうち口コミでいつも幕の内的
なお弁当を配達しているところにも伝わり、「別に注文できるんですか?」と訊かれ、
実際に注文が入るようになったこともあるそうです。
そういう遊び心があるところが、おおしまやの魅力なのでしょう。

調理の面で、家庭や通常の飲食店と弁当屋の違いについても触れ、例えば、肉を焼く
のには「最初に強く表面に火を入れる」ようなことはせず(それをすると時間が経って
から食べると硬くて美味しくない)、じっくりと火を入れていく。これは、家庭でのお
弁当作りでも応用できることで、これをすればお弁当を詰めた時に味見したら美味し
かったのに、お弁当を食べて帰宅した家人から「お弁当のお肉美味しくなかった」と言
われることがなくなるとおっしゃってました。
「つまるところ『料理は科学』なのだと思います」と。
化学調味料についても触れ、冷めても美味しく食べるには、やはり濃い目の味付けに
なる。でも、塩味でそれをしようとすれば塩分過多になってしまうから、旨味を足して
味を濃くする必要がある。その観点から、化学調味料の使用は必要と思うとおっしゃっ
ていました。
確かに、出汁をとってとなると、手間もコストもかかります。
作業内容や提供までにかけられる時間、そして経費、さらにお客様が求めているもの
などを総合して考えれば、必要なのだと思います。

最後に、お弁当作りをして見えてくる「世界」とのつながりについてうかがいまし
た。
やはり、アメリカのトランプ大統領がイランに戦争を仕掛けたことに触れ、小さなお
弁当屋でも、あそこで起きたことが、食材や資材、燃料代の高騰に繋がり、その影響を
受けている。
そして日本が、資源でも食料でも外国に頼っていることをあらためて認識した、本当
に将来のことを考えなければいけないねとおっしゃっていました。
トークショー終了後は、希望者で交流会という「ワイワイ食べ飲みする会」を設け、
再び石黒さんを中心に楽しく盛り上がったのでした。